研究概要 |
p51遺伝子に関して遺伝子突然変異解析を行った.前立腺癌症例55例を用い,RT-PCRSSCP法で解析した結果では,cording regionに突然変異は検出されなかった.各遺伝子発現の関係を知るために,p53,p73,およびp51各遺伝子の発現に関してRT-PCR法を用いて各症例のnormal-tumor間で比較解析した.38例の前立腺癌症例を用いた解析では,p53に関しては4例(10.5%)で発現低下し,残り34例では発現は変わらなかった.p51とp73では,それぞれ,39.5%,42.1%が発現低下,34.2%,31.5%が発現上昇していた.38例中の25例,65.8%で,p51とp73の発現動向は一致していた.以上のdataより,p51およびp73の突然変異は前立腺癌には重要ではなく,発現レベルで腫瘍増殖になんらかの関与があるものと推測された.また,p51およびp73はp53の腫瘍抑制機能とは異なる作用を行っている可能性が考えられた. さらに,タンパクレベルでの解析を行うため,p51,p73各遺伝子の免疫組織化学染色を実行中である.これによれば,p51遺伝子産物は前立腺では,腺細胞のみならず間質組織にも広く発現しており,癌細胞でも発現がみられた.さらにp73遺伝子タンパクについても検討続行中である.
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