研究概要 |
1.Vogt-小柳-原田病発症における責任抗原蛋白のスクリーニング Vogt-小柳-原田病患者の急性期の血清を用いて抗原蛋白をスクリーニングを行った.数種類のメラノーマ細胞株より可溶性蛋白をSDS-PAGEにより展開し,Western blottingにて患者血清中抗体に反応する蛋白を検出した.細胞株の種類によって数個の候補蛋白分子が見い出された.特に,患者群(4名)と対照健常者(5名)との比較により その抗原蛋白の1つがTyrosinaseである可能性が示唆された。また患者血清を用いた免疫沈降法により,急性期患者(2名)血清中には抗Tyrosinase抗体価が高いことが判明した. 2.抗原内のT細胞エピトープの同定 Tyrosinaseの全アミノ酸配列をもとに22アミノ酸残基長のペプチドを11残基ずつオーバーラップさせた44個のペプチドを合成し、これらのペプチドを抗原として、患者末梢血リンパ球の増殖反応により抗原性を検討した。Vogt-小柳-原田病患者末梢血4名のT細胞の増殖反応はそれぞれ4〜5個の候補ペプチドはみられるものの全員に共通するエピトープはみられなかった.しかし,交感性眼炎患者の1名は特定の1つのペプチドに強い増殖反応がみられ,このペプチドに反応するT細胞株を樹立したところ,それはVogt-小柳-原田病,交感性眼炎に疾患感受性のみられるHLA-DRB1^*0405に拘束性がみられることが判明した。
|