研究概要 |
Ubiquitin類似蛋白であるNEDD8を,in vivoで分解する70kDaのproteaseと考えられる新規遺伝子(以下,p70)を単離した.予想されるアミノ酸配列には,ある種のプロテアーゼで認められる活性中心と相同性があることを見いだし,p70の活性中心のアミノ酸に変異を導入したmutantを使ってNEDD8分解活性の変化を検討した.活性中心と予想されるシステインならびにヒスチジンをアラニンに変えた発現ベクターを作成し,培養細胞に導入してNEDD8の発現変化をウェスタンブロットで検討した.その結果,p70のwild typeをNEDD8と共発現させると,NEDD8はほぼ完全に消失したのに対して,p70のmutantではNEDD8はほとんど消失しなかった.また,アンチセンスベクターを細胞に導入することにより,NEDD8の蛋白量の変化をみると,アンチセンスが内在性のp70の発現を減少させた結果,NEDD8の発現は逆に増加した.以上より,NEDD8はp70により分解される可能性が示唆された. 免疫染色法を用いて,NEDD8は核内に局在することを報告したが,もしp70がNEDD8と特異的に結合するならば,核内に限局した発現が予想される.そこで免疫学的手法を用いてp70の細胞内局在を明らかにする.Epitope tagをつけたp70を細胞内で発現させ,tagに対するモノクローナル抗体で染色した結果,p70は主に核内に局在していることが明らかとなった. また,大腸菌に発現させたp70のGST融合蛋白をウサギに免疫し,抗p70ポリクローナル抗体を作製した.この抗体は特異的にp70を認識することが吸収実験で確認され,p70は各種細胞株で発現していることが明らかとなった.
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