研究概要 |
1.HSP90と各種抗がん剤との会合をリアルタイム分子間相互作用解析装置BIACORE2000を用いて検討した。ヒスチジンタグ付加HSP90の野生型をバキュロウィルス発現系を用いて、大量産生・精製を行った。精製したHSP90をNTA tip上に固相化し、抗がん剤とHSP90との会合をBIACORE2000にて検討したところ、これまでにHSP90との会合が知られていたgeldanamycinのみならず、cisplatin、doxorubicinが濃度依存性にHSP90と会合することが明らかになった。 2.HSP90の細胞増殖における機能を詳細にする目的でmycタグを付加したHSP90をNIH3T3細胞に遺伝子導入し、以下の知見を得た。 1)ヒトHSP90βを導入したNIH3T3細胞(NIH3T3-HSP)では、MTTアッセイにて細胞増殖が抑制されていることが明らかとなった。この時の細胞周期に明らかな差異は認められなかった。 2)サイクリン遺伝子の発現をRNA protection assayにて検討したところcyclinA_2およびcyclinD_3の発現低下がみられた。 3)NIH3T3-HSPは対照と比較して、geldanamycin、doxorubicinによる細胞死の抑制がみられた。 以上の結果を、第88回日本病理学総会(1999,東京)、第58回日本癌学会総会(1999,広島)および第22回日本分子生物学会総会(1999,福岡)にてそれぞれ発表した。
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