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レトロウイルスの逆転写においてtopoisomerase Iは重要なはたらきをしており、in vitroにおける研究ではcDNA合成を上昇させることが判明している。本研究においてはその作用機序について解析することを目的とした。Topoisomerase Iの作用機序として、ゲノムRNAへ直接作用していることを予測した。DNAに対しては、切断と再結合の2段階の作用を示していることから、RNAに対する双方の活性を調べた。RNA切断活性を失うミュータント、さらにRNAライゲース活性を失うミュータントtopoisomerase Iをバキュロウイルスにて作成後、精製した。各ミュータントに関してスーパーコイルDNAに対するリラックス活性を測定したところ全てのミュータントは活性を失っていた。これはスーパーコイルDNAをリラックスさせるためには切断と再結合の両方の機能が要求されるためであると考えられた。さらにHIV-1ウイルスをRNAテンプレート逆転写酵素のソースとした系にて、逆転写におけるミュータントの作用を調べた。その結果、切断活性を失ってもcDNA合成活性化に変化が認められなかったが、ライゲース活性を失うとcDNA合成活性の上昇が認められなかった。この結果より、宿主topoisomerase Iは逆転写において、そのRNAライゲース活性によってcDNA合成を上昇させていることを強く示唆した。この活性が必要になる機序および、topoisomerase Iに影響を与えるATPの逆転写における作用についての研究がさらに必要であると考えられた。
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