研究概要 |
毒素原性大腸菌の産生する耐熱性エンテロトキシン(STa)は、腸管上皮細胞膜上に存在する受容体蛋白質(STaR/GC-C)に特異的に結合して、ヒトや家畜に急性の下痢を引き起こす毒素である。STaRのNリンクの糖鎖の役割を調べるために、Nリンク糖鎖付加のコンセンサスの配列部分のAsn、Ser、Thrの配列をAlaに変えた変異体を作製した。6つのSTaR変異体(N9A,S11A,N172A,N174A,N379A,T381A)を作製して調べた。その結果、wild-type STaRと比較して、すべてのSTaR変異体のSTa結合活性(Kd)は変わらないにもかかわらず、STa結合量に低下が認められた。特に、N379AとT381Aの蛋白質の発現量はwild-type STaRと変わらないにもかかわらず、STa結合量の著しい低下が認められた。さらに言えば、N379AのSTaR変異体は、wild-typeのSTaRと比較して、変性状態に対する安定性が低い結果が得られた。これらの結果はSTaRの379残基めのAsnは、STaRの安定性、STa結合能力、グアニル酸シクラーゼの活性化に重要であることがわかった。(今年度は特に上記のことについて研究をおこなった)
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