EBウイルスがコードする小RNA(EBER1、EBER2)と結合するタンパク質を同定するために、RNA-protein hybridシステムを用いた検討を開始した。 最初に、このシステムで目的とするスクリーニングが可能か否かを確認するために、既知の2種のEBER結合蛋白質とEBERとの結合を解析した。その結果、その内の一つであるPKRとEBER2との有意な結合が示された。また、PKRの欠失変異体を用いた同様の解析から、EBER2はPKR中に存在するRNA結合領域に結合することが明らかとなり、ここで検出した結果は特異的な結合であることが示された。これまでEBER結合蛋白質の網羅的なスクリーニングは行われていなかったため、このシステムでスクリーニングが可能であることが示された意義は大きい。そこで、ライブラリーのスクリーニングに移った。スクリーニングは、EBウイルス感染不死化B細胞から調整したCDNAライブラリーをEBER2発現ベクターと共に酵母にトランスフェクトすることにより行った。ライブラリー由来蛋白質とEBER2を共発現する約500万の酵母クローンを、EBERへの結合の指標であるレポーター遺伝子の発現によりスクリーニングした。その結果、約3000の陽性クローンが得られた。さらに、これらをもう一つのレポーター遺伝子の発現によりスクリーニングしたところ、約90%が陽性であることが示された。 現在、EBERとの結合に関係なくレポーターを発現させる疑陽性クローンの排除を行っている。今後、スクリーニングで得られたクローンについては、GST pull downアッセイにより培養細胞内でのEBERとの結合を確認する予定がある。
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