研究概要 |
1.種々の哺乳動物(ネコ、ウサギ、マウス、ブタ、ヒト)由来の細胞株に、HTLV-Iが持続感染したヒトT細胞株(2M、SI-5)を混合培養した。その結果、HTLV-Iが持続感染した、6種類のネコ由来細胞株(8C/HTLV-I_<2M>、8C/HTLV-I_<SI-5>、PG-4/HTLV-I_<SI-5>、PG-4/HTLV-I_<2M>、G-355/HTLV-I_<SI-5>、G-355/HTLV-I_<2M>)および1種類のヒト由来細胞株(HOS/HTLV-I_<SI-5>)が得られた。 2.HTLV-Iの感染症を、HTLV-Iに特異的なプライマーを用いたcell-free HTLV-I-PCR assayを用い調べた所、ウサギ細胞株(Ra-1)および1の実験で得た、6種類のネコ細胞株由来のHTLV-Iは、ヒト細胞株(HOS/PL、HOS/HTLV-I_<SI-5>、MT-2、C91/PL)由来のHTLV-Iの感染症の100-1,000倍であった。 3.ネコ細胞株由来のHTLV-Iは、末端αガラクトシル基に結合するレクチン(BS-IB4)で強く感染阻害され、また、ネコおよびヒト細胞株由来のHTLV-Iは、末端ガラクトシル基に結合するレクチン(ECA)で感染阻害された。ウシ白血病ウイルスはこれらのレクチンで感染阻害されなかった。 4.ヒト細胞株およびネコ細胞株由来のHTLV-Iを、末端ガラクトシル基を切断する酵素(αガラクトシダーゼ、βガラクトシダーゼ)で処理すると感染性の低下が認められた。また、末端シアル酸残基を切断する酵素(シアリダーゼ)で処理すると、逆に感染性の上昇が認められた。 5・ブタ細胞株よりクローニングした、αガラクトシルトランスフェラーゼ遺伝子を発現ベクターpcDNA3-neoおよびpMX-puroに導入した。次に、αガラクトシルトランスフェラーゼ遺伝子をHTLV-Iが持続感染したヒト細胞株(HOS/HTLV-I_<SI-5>)に導入して安定発現細胞株の作成に成功した。
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