研究概要 |
1.C型ウイルス(HCV)の蛋白合成開始のシスエレメントであるIRES(internal ribosomal entry site)は、ミニ遺伝子の構成要素としても重要な役割を果たすと考えられる。このHCV IRESの宿主因子の要求性を、無細胞翻訳系でポリオウイルスと比較した。その結果、抗核抗体の抗原でもあるLa/SS-Bの要求性とウイルス感染による細胞質への局在の変化が、HCVではポリオウイルスよりも低いことを証明した(J.Gen.Virol.80:2319-2328,1999)。 2.細胞内複製を解析するためのミニ遺伝子を作製した。この遺伝子は、5'側には無細胞翻訳系で十分なIRES活性を持つ領域を含み、3'側には現在まで報告されている株の相同性検索から、マイナス鎖RNA合成のシスエレメントとして必要と考えられる領域を持っている。中間の欠失したRNA領域にはレポーター遺伝子を挿入している。 3.Creレコンビナーゼの導入によりHCVの全蛋白を発現する安定形質転換細胞株を樹立した。β-ガラクトシダーゼを用いた予備実験により、ウイルスベクターによりCreを発現させる至適感染条件を決定した。 4.プラス鎖特異的RT-PCRにより、細胞内で複製したRNAを正確に定量する系を作製した。 5.海外のグループにより、我々と同様の発想に基づくジシストロニックレプリコンが報告され、我々の方法論の正しいことが証明された。この報告と同様のレプリコンの作製も同時に進めている。
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