我々はC型肝炎ウイルス(HCV)NS5A蛋白によるインターフェロン(IFN)抗ウイルス活性の抑制にPKR経路だけでなく、2-5A合成酵素(2-5AS)/RNaseL経路も関与している可能性を示唆してきた。そこで、NS5Aが2-5ASと結合しIFNの抗ウイルス活性を抑制するのではないかと考え、実験を行った。 まず、NS5AおよびHAタグ付き2-5ASを共発現する細胞抽出液を用い、抗HA抗体あるいは抗NS5A抗体による免疫沈降を行った。抗HA抗体を用いた場合には、両蛋白の結合が認められたが、抗NS5A抗体を用いた時にははっきりとした結合はわからなかった。そこで、NS5Aを効率よく精製するためにGST融合NS5AおよびHAタグ付き2-5ASを共発現する細胞抽出液を用い、グルタチオンビーズによるプルダウンアッセイを行った。すると両蛋白の結合がはっきりと認められた。またこのとき、抗HA抗体を用いて免疫沈降しても両蛋白の結合が認められた。さらに、GST融合2-5ASおよびNS5Aを共発現する細胞抽出液を用い、グルタチオンビーズによるプルダウンアッセイも行った場合にも両蛋白の結合が顕著に認められた。そこでこの後の解析にはこの方法を用いた。両蛋白の結合領域について検討を行ったところ、NS5Aはaa27-149領域で結合し、2-5ASはN末端領域よりもC末端領域でより結合することがわかった。またNS5Aの欠失変異体(NS5AΔC298:aa1-149)はNS5A全領域よりも2-5ASにより多く結合することが明らかとなった。さらに、NS5A内のInterferon sensitivity determining region(ISDR)配列あるいはサブタイプの違いによって両蛋白の結合量に差異が認められるか否かについて検討したが、株間で有意な差は認められなかった。
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