研究概要 |
肺中心B細胞におけるテロメラーゼの発現を解析した。Balb/cあるいはC57/BL6マウスにT細胞依存症抗原であるSRBC、DNP-KLH、NP-CGGなどを腹腔内、もしくはfootpadに免疫して脾臓、所属リンパ節に胚中心(GC)を形成させ、これらの臓器から細胞を単離しGCのマーカーであるPNA、抗GL-7抗体、抗GANP抗体(Kuwahara,K.et al.,Blood in press)とB細胞特異的マーカーである抗B220抗体で二重染色し、セルソーターによってGCB細胞のみを分離した。分取した細胞を可溶化し、定量的TRAP法によってテロメラーゼ活性を測定した。GCB細胞は抗原の種類によらず、非GCB細胞に較べ高いテロメラーゼ活性を示した。またRT-PCRによりテロメラーゼの鋳型RNA成分であるTERC、構成蛋白であるTERT、TEP-1の発現をみるとGCB細胞ではTERCおよびTERTの発現増強を認めた。T依存症抗原からのテロメラーゼ誘導シグナルを解析するために未免疫のマウスの脾臓からB細胞を精製し、抗CD40抗体によるCD40シグナルの存在下、II-2、-3、-4、-5、-6、-7のサイトカイン類を共刺激として加え、3日間in vitroで培養を行い、テロメラーゼ活性の誘導を定量的TRAP法で検討した結果、IL-4およびIL-7が有意にテロメラーゼの誘導を促進した。また同時にRT-PCRによりTERCおよびTERTの発現増強を認めた。これらの結果からGCB細胞でのテロメラーゼの誘導にはCD40、IL-4、IL-7が重要な役割を果たすことが示唆された。in vitroの系においてチロシンキナーゼ阻害剤、PCK阻害剤、MAPKK阻害剤、PI3-K阻害剤はすべてテロメラーゼの誘導を阻害することからリン酸化カスケードがテロメラーゼ活性の誘導に重要であると考えられた。
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