BCR(B細胞抗原受容体)はB細胞上に発現しており、BCRを介して細胞内にシグナル伝達されることが、B細胞の活性化・分化に必須である。BCR刺激により最初に誘起される生化学反応は蛋白質のチロシン燐酸化であり、BCR刺激により活性化されるPTKの内、Sykが重要な役割を担っていることが欠損B細胞、knock-out mouseの解析より明らかにされていた。従って、Sykのターゲット蛋白質の単離とその蛋白質のBCRシグナルにおける機能解析を目的として研究を行った。 Sykによって、チロシンリン酸化される蛋白質(p25)を単離し、そのcDNAクローニング、ノックアウトB細胞を樹立した。p25の構造は、N末からPH領域・SH2領域から構成されているアダプター分子であることが明らかになった。ノックアウトB細胞を用いたBCRシグナルの解析により、アポトーシスが顕著に増加しており、p25はBCRシグナルに於ける負の調節分子であることが示唆された。
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