本研究は、平成11年度脳内における亜鉛の生理的役割をzinc transporterの発現から明らかにすることを目的とし、これら蛋白質の解析を行うために必要な抗体の作成に取り組んだ。現在まで報告されている4種類のzinc trannporter(ZnT-1〜ZnT-4)のうち脳に特異的なZnT-3およびZnT-4の可溶性部分について30塩基のprimerを合成し、これをもとにマウス脳組織よりRTPCR法で得られたこれら約100アミノ酸残基分のcDNAを蛋白質発現ベクターであるpGEX2Tと結合させ、発現用大腸菌sure-2にて蛋白質を発現させた。ZnT-3およびZnT-4は、アフィニティクロマトグラフィ(Glutathione Sepharose-4B)により分離精製した後、結合したGSTを血液凝固因子Xaにより切り離した。抗体はウサギに精製した蛋白質を免疫してポリクローナル抗体を作成した。これらの抗体は、平成12年度に行う実験に使用する予定である。平成12年度は、亜鉛欠乏食投与したラットにストレスを負荷した時の中枢神経機能に関与する亜鉛の役割をZnT-3およびZnT-4、更に可能であるならばメタロチオネイン等の亜鉛輸送蛋白質の発現を通して検討する。
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