研究概要 |
本研究は癌抑制遺伝子p53の遺伝的多型を指標として、胃癌及び大腸癌の高危険度群を予測することを目的としている。今年度は末梢血白血球DNAの抽出、PCR法による標的部位の増幅、SSCP法(single strand conformation polymorphism)及びRFLP法(restriction fragment length polymorphism)による遺伝的多型の検出を中心に行い、胃癌、大腸癌及び健常者各200例ずつのExon4及びIntron2,3,6,7の遺伝子型の決定はほぼ終了した。その結果、変異型のアレルの頻度はExon4及びIntron2は約0.35、Intron3は約0.05、Intron3の16塩基の繰り返し配列の多型及びIntron6は約0.03、Intron7は約0.30であり、これまでに日本人について行われた調査とほぼ近い値が得られた。そして予備的に行った統計解析では、全体としては胃癌群、大腸癌群と健常者群の間では遺伝的多型の分布にあまり差は見られてはいないが、性別や年齢を階層化することにより差が出てくるグループも存在した。従って次年度はさらに詳細な統計解析を行うことにより、危険因子である可能性のある遺伝子型を見いだすことを試みる。またExon4及びIntron2,3,6,7の遺伝的多型が連鎖していることを見いだしているので、いずれのハプロタイプが最も危険度が高いのかに関しても詳細に解析を行う予定である。
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