1.小児肥満の発症に関与する遺伝子解析 モンゴル系人種の肥満に関与すると考えられる遺伝子多型Trp64Argに加え、Gln223Argについて、インフォームドコンセントの得られた小児を対象に解析した。結果は、Trp64Arg多型と肥満との関連は追認されたが、Gln223Arg多型については明らかでなかった(英文発表)。さらにいくつかの多型について、小児期の肥満発症との関連を検討中である。 2.小児肥満に関する生活習慣の検討 小児生活習慣病予防健診の事後指導を受講した保護者を対象に、児童生徒の生活習慣調査を行った。肥満児と非肥満児の生活習慣では、食生活や運動習慣の数項目に明らかな差が見られた(和文発表)。 3.小児肥満の予後と生活習慣病発症との関連 開設後10年以上経過した小児科肥満外来において、受診した肥満児の予後を郵送アンケートを用いて調査し、肥満児の予後、合併症の有無、生活習慣と肥満継続との関連を検討した。その結果、受診時に高度肥満であったものはほとんど成人肥満に移行していること、腹部肥満の予後が悪いこと、運動不足と喫煙習慣があるものに成人肥満が多いことなどが明らかになった(投稿中)。 4.肥満小児におけるインスリン抵抗性の新しいスクリーニング方法 肥満児には早期からインスリン抵抗性を有し、さまざまな合併症をかかえる一群があり、無駄な検査の回避、将来の合併症予防、早期教育のためにはスクリーニングの必要性がある。申請者らはそのめやすに、身長と体重から計算した肥満度に加え、視診で容易に判定できる頚部黒色表皮症の有無を採用した。肥満度、黒色表皮症の広がり方、腹囲、腹部CTスキャンによる内臓脂肪面積測定、空腹時採血による耐糖能検査、血中レプチン値などの項目で解析を進めている。
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