研究概要 |
本申請では先天性代謝異常症のフェニルケトン尿症、メイプルシロップ尿症及びガラクトース血症の新生児マススクリーニングの指標となるフェニルアラニン(Phe)、ロイシン(Leu)及びガラクトース(Ga1)を迅速かつ簡便に定量することを目的として、各デヒドロゲナーゼ(DH)の固定化酵素カラムを用いたセミミクロHPLC装置での三成分同時定量法を検討し,本年度は以下の成果を得た。 固定化酵素カラムは各DHをTSKgel TRESYL-5PWに結合させ、カラム(1.5mmφ×100mm)に充填し調製した。装置は4本のカラム(固定化酵素カラム3種及び非固定化酵素カラム)を高圧六方バルブにそれぞれ接続し、100μL/minで送液した。試料溶液5μLをカラムに導入し、生じたNADHを蛍光検出した。この操作を4回行い、カラムスイッチングでそれぞれのカラムに試料を導入することにより、3成分の濃度を定量した。試料は血色素を固定した3mmφの血液ろ紙1枚を20mM NADを含む緩衝液50μLで抽出して調製した。 上記の方法により、3mmφの血液ろ紙ディスク1枚から18分間で3成分を同時に測定できた。最適条件下において標準血液ろ紙ディスクでの検量線はPhe;0.3-19.6mg/dL、Leu;0.8-18.4mg/dL、Gal;04-18.2mg/dLで直線性を示し、現在マススクリーニングで行われているカットオフレベルを十分カバーした。日内変動はPhe;0.7-2.3%、Leu;1.0-2.2%、Ga1;0.4-2.4%(CV、n=5)と良好であった。次年度は臨床サンプルの測定を行い本法の有用性について検討を行う。
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