研究概要 |
歩行能力と筋力,バランス機能,特に動的バランスとの関係を明らかにすることを目的として,転倒防止能力テスト(仮称)を考案し有用性について調べた。被験者は年齢19.9±0.9歳の健康な女子大生であり,定期的に適度な通動習慣をもつ者である。測定項目は,歩行能力として10m全力歩行時の速度,歩幅,歩調,筋力項目として背筋力,垂直跳び,脚伸展力,脚屈曲力,スクワット,バランス能力として閉眼片足立ち,全身反応時間,転倒防止能力テストを行った。その他,一般的な体力テスト9種目の測定も加え行った。転倒防止能力テストは,開眼立位両脚支持姿勢から30cmもしくは90cmの位置に,音がなったら,素早く利き足を一歩踏み出し片脚支持で停止するテストである。評価には利き足が着床してからの10秒間の足圧中心点動揺距離を用いた。その結果,静的バランスをみる閉眼片足立ちの持続時間と転倒防止能力テストの間には有意な相関はなかったが,閉眼片足立ち10秒間の足圧中心点動揺距離との間には有意な正相関がみられた(30cm:r=+0.715,90cm:r=+0.654)。また,転倒防止能力テストはその他の項目にも有意な関係がみられた。しかし,今回は着床までの移動速度が規定されていなかったことや歩行能力に加齢変化のまだみられてこない若年者であったことなどから,結果にばらつきが大きく,一定の傾向が認められなかった。 転倒防止能力テストは閉眼片足立ちとの結果から,有用性を検討する価値があることが示唆されたが.転倒を防止に関連するであろう歩行能力や反応時間,脚筋力とは関連がみられず,今後のテスト条件の見直しが必要である。尚,現在,追実験中である。
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