今回は鍼通電刺激がインスリン抵抗性に及ぼす影響を明らかにすることを目的として、自然発症のNIDDMモデルラットであるOtsuk-Long-Evans Tokushima Fatty(OLETF)ラット及びその正常対照であるLong-Evans Tokushima Otsuka(LETO)ラットを用いて、Hyperinsulinemic Euglycemic Clamp法におけるGlucose Infusion Rate(GIR)を指標に検討した。今年度は既にインスリン抵抗性を呈している20週齢の雄性OLETFラットを、耳介迷走神経鍼刺激群(AVA)、耳介非迷走神経鍼刺激群(ANVA)、背部鍼刺激群(AB)、背部ピンチ刺激群(PB)、無刺激群(NS)に分け、正常対照としてLETOラットも同様に5群に分けた。Hyperinsulinemic Euglycemic Clamp開始から40分経過した時点で10分間の基礎値を測定し、続いて10分間の鍼通電刺激を行いながら刺激中のGIRを測定した。さらに刺激後10分間GIRの測定を続けた。鍼通電刺激はパルス幅300ms、1.5V、1Hzで10分間行った。結果はOLETFラットでは、PB群で基礎値に対して有意に減少した。LETOラットではPB群の刺激後に基礎値、刺激中の値に対して有意な増加がみられ、AVA群の刺激後の値が刺激中の値に対して有意に減少した。次年度は上記の鍼通電刺激を継続的に数ヶ月間施し、長期的な鍼治療効果について検討する。
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