研究概要 |
1996年に畜産振興事業団の助成により実施された全国7地区(沖縄県、熊本県、香川県、新潟県、福島県、岩手県、北海道の7市町)の15〜79歳の女性住民を対象に行われた約4,500人の大規模な無作為抽出標本調査(JPOS study)のデータをbaselineとし、1999年に追跡調査を3地区(沖縄県、香川県、福島県の3市町)で実施し、約1,300人のfollow-upデータを得た。データとしては腰椎、大腿骨、橈尺骨(加えて追跡調査では踵骨)の骨密度、体格、筋力、運動習慣、労働強度、飲酒、喫煙、月経・妊娠・出産や婦人科疾患の既往歴、食事習慣、カルシウム摂取、また1996年に採取された血液および尿中の骨代謝指標が含まれている。なお、データの使用や遺伝子解析については対象者の承諾、およびJPOS study事業推進委員会の承諾を得た。 1.遺伝子多型の解析 対象者の血液試料より抽出されたゲノムDNAを用いて、ビタミンD受容体遺伝子のFok1多型とオステオカルシン遺伝子のHindIII多型、およびTGF-β1のcodon10部位の多型をPCR-RFLP法や蛍光標識プローブによる対立遺伝子識別アッセイ法により解析した。沖縄県および香川県2地区1,200人の解析が終了し、現在福島県地区の解析に着手している。また、ビタミンD受容体遺伝子のApaI、TaqI多型についての解析を続行中である。 2、遺伝子多型と骨密度との関連 遺伝子多型のAllele頻度はそれぞれ、Fok1(F:f=63:37),HindIII(H:h=20:80),TGF-β1(T:C=47:53)であり、沖縄と香川の地域差は見られなかった。腰椎、大腿骨および橈尺骨の骨密度に及ぼす影響を他の要因を調整した上で解析中であるが、現在のところ遺伝子型の違いによる有意な骨密度の差は見られていない。骨密度の経年変化との関連については、現在追跡調査データを入力・整理中である。
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