2000年4月に実施される介護保険制度は、市町村別に運営されるという保険制度であることから、地域特性を勘案した介護サービスの需給予測やこれらの予測に基づく市町村におけるマネジメントが必要となると考えられる。こういった予測においては、平成10年度に調査された18万人の高齢者の認定データは、きわめて重要であると考えられる。 そこで本研究では、高齢者認定データに年齢や性別、市町村の特性である人口規模、高齢化率等に関するデータ等といった他のデータベースと組み合わせ新たなデータファイルを作成した。このデータベースを基礎とし、都道府県別、都市・農村といった地域特性別の解析を試みたので報告を行なう。都道府県別に必要とされる高齢者一人あたりの平均介護サービス量と高齢化率との関係は、たとえば最も高齢化率の高い島根県は、高齢者一人あたりに必要とされる介護サービス量も全国6番目に高いが、次いで高齢化率の高い高知県は、44番目に低いというように、高齢化率との関係性はみられなかった。また性別の要介護度の構成比についても分析を行なったが、有意な差はみられなかった。ただし、都市・農村という複合的な要因を加味した分類では、要介護度別構成割合には、異なった傾向がみられ、市町村別の詳細な解析が必要なことが示唆された。 このため、以上の解析をさらに詳細に検討するために、来年度は、市町村別にさらに具体的に「どのような介護」が「どのくらい必要か」という平均介護サービス量の算出を行なうための仕組みを新たに構築することを目的とし、行なうことを予定している。
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