研究概要 |
1:生薬中における有機塩素系農薬の残留量の測定 市場品生薬(65種類、254試料)を対象とし、有機塩素系農薬(12種類)の残留量を測定した。大部分の生薬にα-BHC、β-BHC、γ-BHC、δ-BHC、p,p,-DDT、p,p,-DDE、p,p,-DDD、キントゼン、ヘキサクロロベンゼン、アルドリンなどの残留が確認された。特に内分泌撹乱物質としての作用が疑われているα,β,γ,δ-BHC、p'p'-DDT、p'p'-DDE及びp'p'-DDDは数多くの生薬から検出され、その残留濃度は、BHC系農薬が0.001ppm〜10ppm(α,β,γ,δの総量として)、DDT系農薬が0.001ppm〜0.5ppm(p'p'-DDD,p'p'-DDE,p'p'-DDTの総量として)であった。また生薬の種類では、Ginseng Radix(薬用人参)から特に高濃度の残留農薬が検出された。 2:BHC、DDTが残留している薬用人参の免疫系に及ぼす影響 マウス(C3H/HeN系)脾臓細胞のリンパ球芽球化反応を指標とし、BHC、DDTの残留が認められる薬用人参の免疫系に及ぼす影響について検討した。BHC、DDTが残留していない薬用人参から抽出したエキスにはリンパ球の芽球化を促進させるマイトジェニックな効果が認められた。BHCおよびDDTは、リンパ球の芽球化を若干抑制した。BHC、DDTが残留している薬用人参から抽出したエキスにも、リンパ球の芽球化を促進させる効果が認められた。しかしその促進効果は、農薬が残留していない薬用人参から抽出したエキスと比較して低かった。
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