研究概要 |
心臓性急死例における心臓イオンチャンネル遺伝子の変異について検討を行った。遺伝性QT延長症候群の原因遺伝子のうちKVLQTとHERGに関して検討した。KVLQT,HERGそれぞれのPCRに用いたプライマーはIto et al.の報告に従った。得られた増幅産物についてポリアクリルアミドゲルによるSSCP分析を行った。 健常対照群25名と東北大学法医学分野で剖検された心臓性急死あるいは急性循環不全と判断された4例について分析した。QT延長症候群の原因となるKVLQTの異状として1塩基欠失やミスセンス変異が報告されているが、どちらの群でもこれらの変異は検出されなかった。HERG遺伝子についてはミスセンス変異や複数塩基欠失等が報告されているが、どちらの群でもそれらの変異は検出されなかった。 DNA抽出用の試料を凍結保存していなかった症例についてはパラフィン包理ブロックからDNA抽出を行ったが、目的領域をうまく増幅できないことが多く、また、増幅されたとしても再現性に問題があった。(そのため、4例のみの検討に留まった)。そこで、固定にアセトンを用いるAmex法を用いたところ、ホルマリン固定に比べ、比較的高分子のDNAを得ることができ、PCR法でも安定した結果を得ることができた。また、組織切片の染色性にも問題がなく、DNA分析をも考慮にいれた組織ブロック作製法としてAmex法は優れていることが明らかになった。
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