研究概要 |
Rh蛋白に担われているRh血液型システムは、輸血に用いる適合血の判定指標としてあるいは、法医学・人類遺伝学領域における個人識別などの主要遺伝マーカーとして広く利用されているが、その機能はいまだ解明されていない。我々はRh蛋白複合体の生物学的機能を明かにするため、Rh変異型遺伝子およびRh蛋白複合体変異マウスの作成に向けたマウスRh複合体関連遺伝子の分子遺伝的解析を行った。 (1)Rh変異型遺伝子の解析について Rh蛋白の細胞外第4ドメインのアミノ酸変異を伴う3つの新しいpartialDの存在を明かにした。さらに、Rh23抗原のエピトープを同定した。(Omi et al.Biochem Biophys Res Commun,254:786-794,1999、Omi et al.Transfusion,40:256-257,2000)。 (2)マウスRh複合体関連遺伝子の分子遺伝的解析について マウスゲノムのBACライブラリーより、RH50-like遺伝子のクローンを得ることができた。また、ゲノムDNAをテンプレートし、複数のプラーマーを設定したlongPCRを実施した結果、RH-likeならびにRHAG-like遺伝子のエクソン2からエクソン10領域は、ひとのRH、RH50遺伝子の大きさよりいずれも小さいことが明かとなった。今後、イントロン領域のシークエンス解析を行い、RH-likeおよびRHAG-like遺伝子の構造を解析するとともに、Rh蛋白複合体ノックアウトマウスの作成に必要なターゲティングークベクターを構築する予定である。
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