研究概要 |
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)-1感染症の症例の一部に罹患後も無治療で10年以上の経過でも免疫能低下が認められないlong-term non-progressor(LTNP)が存在するが、厚生省HIV感染者発症予防・治療に関する研究班Natural History委員会の全国調査では、わが国のHIV-1感染者の7%(154例/2,191例)がLTNPにあたると考えられており、これは海外での報告(6-8%)とも概ね大差ない結果である。LTNP症例の特徴のとして血漿HIV-RNAコピー数で低値であることが知られており、わが国のLTNPも約50%の症例で血清HIV-RNAコピー数が1,000copies/mL未満であることが示されている。本研究の目的は、LTNPが成立する病態生理における宿主側の要因を、とくにケモカイン受容体の一つであるCCR5に注目して解明することにある。 残念ながら、本研究に対する補助金の執行が平成11年12月末からであったこともあり、現時点では先述のNatural History委員会に属する静岡県立こども病院や国立国際医療センター、などの共同研究施設を中心にLTNP症例を収集している段階に止まっている。引き続いて平成12年度の補助金を利用してLNTPにおけるCCR5の意義を明らかにして行きたいと考えている。
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