BALB/cマウス、またはC57BL/6マウスを用いてインフルエンザウイルス感染とその後の抗原感作によって誘導される喘息発症モデルマウスの解析を抗原提示細胞とエフェクター細胞の両面から行った。 1)抗原提示細胞の解析 インフルエンザウイルス感染時の抗原感作によって誘導される喘息モデルマウスでは、感染後3〜7日目に抗原感作を受けると感作が成立するが、感染10〜14日目に抗原感作を受けても感作が成立しない。FITC標識抗原を用いた解析から、感染3〜7日目の抗原感作では気道上皮下の樹状細胞が抗原を捕らえて短時間で所属リンパ節に移行している像が観察された(Yamamoto et al.J.Virol.2001)。しかし、感染10〜14日目の抗原感作では抗原を捕らえた樹状細胞は所属リンパ節には認められなかった。これまでの解析でもウイルス感染によって軌道上皮下に浸潤する樹状細胞が喘息発症に重要であることが示されていたが、今回は樹状細胞が直接抗原を所属リンパ節に運んでいることが確認できた。 2)抗原提示細胞とエフェクター細胞の相互作用 ウイルス感染時に軌道上皮下に浸潤する樹状細胞は、感染3〜7日目に抗原感作を受けると、その後約2ヶ月間軌道上皮下に出現し続け、喘息発症に直接的に関与すると考えられる。抗原感作を受けないマウスでは、樹状細胞は感染7日後には軌道上皮下から消失する。一方、感作時に抗CD4抗体、または抗CD8抗体を投与すると喘息発症は認められない。抗体投与マウスでは、抗原感作を受けないマウスと同様に樹状細胞が感染7日後に軌道上皮下から消失した(平成12年度日本免疫学会にて発表)。抗原感作時にCD4^+T細胞、CD8^+T細胞の存在が樹状細胞の軌道上皮下への長期浸潤に重要であることが確認できた。樹状細胞とT細胞の相互作用に関しては、現在ケモカイン・サイトカインを中心にして検討中である。
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