[背景・目的]CNSループスは多彩な神経精神症状を呈することから、その診断や分類に困難な症例があり、このことが本疾患の病因解明を遅らせる原因になっている。CNSループスの遺伝子背景を解析するために HLAクラス IとクラスIIの解析を行った。[方法]対象はNPSLE nomenclature(ACR 1999)に適合する16 名の患者で、対象は健常人138名である。HLAのタイピングはHLA-Aと-B はlymphocyte microcytotoxicity法で、HLA-DRとDQはPCR-SSO法でlow resolutionレベルを解析しPCR-SSCP法でhigh resolution レベルまで決定した。[結果と考察]日本人NPSLEではHLA-DQB1^*0601アリル頻度が有意差をもって増加していた。これと同様の頻度の増加している病態として、真菌感染者群の報告があり、両病態間に共通したT細胞の免疫異常の存在が推測される。従来のSLE患者のHLA頻度の報告では HLA-A24 の減少 HLA-B39の増加、HLA-DRB1^*1501の増加、HLA-DQB1^*0602の増加が指摘されているが、NPSLE では有意差は認めらない。また、NPSLE で増加しているHLA-DQB1^*0601アリル頻度はSLE群では増加していない。このことからNPSLEはSLEと一部共通した病態を呈するが、遺伝子背景からは独立した疾患と考えられる。
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