研究概要 |
[背景]全身性エリテマトーデスは多彩な全身症状を呈する臓器非特異的な自己免疫疾患である。本疾患の予後を悪化させる特別な病態として重篤な神経・精神症状を呈するSLE:CNSループスが存在するが,その病因解明は遅れている。American College of Rheumatologyから新に提出されたneuropsychiatric syndrome of SLE(NPSLE)nomenclatureに基づいて診断された患者のHLAを解析した。[方法]対象はNPSLE16名と健常人138名である。HLAのタイピングはHLA-Aと-Bはlymphocyte microcytotoxicity法でHLA-DRとDQはPCR-SSCP法でhigh resolutionレベルまで決定した。[結果]アリル頻度を『患者VS健常人』として示す。HLA-A24:50%vs60.1%、B39:0%vs6.5%、HLA-DRB1^*1501:6.3%vs13.0%、DRB1^*1502:31.3%vs23.2%、DRB1^*0803:31.3%vs18.2%、HLA-DQB1^*0602:6.3%vs11.6%、DQB1^*0601が62.5%vs36.2%でありDRB1^*0803、HLA-DQB1^*0601アリル頻度が増加していた。 [考察]我々はcDNAライブラリーとHLADR分子の親和性をスクリーニングすることによりDRB1分子と神経カドヘリンの親和性が高いことを見い出した(DQB1との親和性は不明)。このDR分子はCNSループスの疾患標識抗体であるリボゾーマルPとも親和性も持っていた。このことは本疾患で標的とされている神経細胞の分子のひとつに神経カドヘリンがあることを示唆している。今後、症例数の増加と結合するアミノ酸配列の決定が必要となる。
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