1.ウルソデオキシコール酸(以下ウルソと略)のグルココルチコイド受容体(以下グ受容体と略)の細胞内局在に与える影響をGreen fluorecsence protein(GFP)-グ受容体キメラ蛋白を用いて検討した結果、ウルソ存在下でGFP-グ受容体キメラ蛋白は核移行することが明らかとなった。 2.(1)ウルソによるNF-κB応答性遺伝子発現に与える影響 ウルソ存在下でNF-κB応答性遺伝子発現は、デキサメサゾン存在下とほぼ同等に抑制された。 (2)ウルソ存在下におけるグルココルチコイド応答性遺伝子発現に与える影響 デキサメサゾンによって誘導されたグルココルチコイド応答性遺伝子発現は、共役因子である TIF2の導入により増強された。一方、ウルソによるグルココルチコイド応答性遺伝子の発現は非常に弱く、TIF2による増強効果もほとんど認められなかった。 3.ウルソ存在下におけるグ受容体の細胞内局在に与える影響 TIF2を導入した細胞において、デキサメサゾンによって核移行したGFP-グ受容体キメラ蛋白はdot状に分布したが、ウルソによって核移行したGFP-グ受容体キメラ蛋白は核内に均一に分布した。 4.グ受容体のリガンド結合領域のC末端を欠失した変異体(以下C末端欠失変異体)のウルソ存在下における細胞内分布の検討。 C末端欠失変異体は、デキサメサゾンによって核移行しないが、ウルソ存在下では核移行することが明らかとなった。 以上の結果より、ウルソはグ受容体をリガンドであるグルココルチコイドと異なる様式で核移行させ、転写活性化作用に比較して転写抑制作用をより強く発現させることがより明確となった。
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