研究概要 |
(1)Nramp2とEGFP(enhanced green fluorescence protein)の融合蛋白を発現するベクターを作成し,肝癌細胞株HLFにトランスフェクションし安定発現細胞株(SHNR細胞)を樹立した.細胞内の局在を明らかにするため蛍光顕微鏡でEGFPの発色を観察したが,細胞膜にはほとんど存在せず,細胞質内に顆粒状に発現を認めた.蛍光標識したTransferrinを培養液中に入れSHNR細胞を蛍光顕微鏡で観察したところ,Nramp2-EGFP融合蛋白はTransferrinと細胞内局在が一致したことから,Nramp2はrecycling endosomeに存在することが明らかになった.つぎにrecycling endosomeに存在する細胞内鉄代謝の主要な経路であるTransferrin receptor(TfR) pathwayへのNramp2-EGFP融合蛋白の影響をみた.1)diferric transferrinの細胞内への取り込み,2)細胞外への鉄の放出,3)TfRの細胞表面へのrecyclingへの影響をみたが,いずれも有為な変化は認められなかった. (2)Nramp1および2のペプタイドをそれぞれ合成し,野兎に免疫しポリクローナル抗体を作成した.肝生検組織を用いて免疫組織化学染色にて両蛋白の発現を検討した.Nramp1および2は肝細胞内に顆粒状に発現していた.現在,鉄過剰蓄積が起こっている組織(瀉血療法施行症例)における両蛋白の発現に関し検討中である.
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