活動性を有する慢性C型肝炎症例と無症候性HCVキャリアーの免疫動態の差異を明らかにする目的で、樹状細胞のIL-12、IL-10産生能を比較検討するとともに、CD40の細胞内シグナル伝達分子、転写因子の活性化動態を検討することが、本年度の目標であった。 まず、患者さんに採取した末梢血より分離した樹状細胞の一部を本研究に用いることを説明し、同意を得た。そうして得た樹状細胞のIL-12、IL-10産生能、CD40発現量、HCV感染の有無を検討したところ、 1.活動例、キャリアー例のいずれにおいても、DC内にHCV-RNAの存在を認めた。 2.DC表面のCD40発現量は、活動例、キャリアー例間で差異を認めなかった。 3.DCのIL-12産生量は、活動例に比しキャリアー例で若干高い傾向を示したが、有意差は認めなかった。 4.DCのIL-10産生量は、活動例でキャリアー例に比し有意に高値を示した。 の諸点が明らかになった。 以上より、当初の予想と異なり、活動例とキャリアー例の差異はDCのIL-12産生でなく、むしろIL-10の関与のほうが大きいことが明らかになっつたため、次年度はIL-10産生に関与する細胞内シグナル伝達機構とHCV関連タンパクとの相互作用について検討を進める予定である。
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