目的:慢性呼吸器疾患患者における在宅非侵襲的陽圧換気法(noninvasive positive pressure ventilation:NIPPV)の適応基準について検討する。 対象:慢性閉塞性肺疾患(COPD)53例、肺結核後遺症(PTB)47例、肺線維症(PF)12例。 方法:(1)対象患者について日中覚醒時の動脈血液ガス、換気機能検査(%VC、FEV_<1.0>%)、心電図、心臓超音波検査を施行。 (2)空気吸入下でパルスオキシメータにより睡眠時動脈血酸素飽和度(SaO_2)を経時的に測定し、全睡眠時間におけるSaO_2が85%以下になる時間の割合(desaturation85%:DST85)を測定する。DST85が1%以上を睡眠時低酸素血症(nocturnal oxygen desaturation:NOD)とする。 (3)空気吸入下でNODが認められる例について酸素吸入によりPaO_2を改善させ、夜間SaO_2モニターを施行する。NODが酸素吸入でも残存する症例はNIPPVの適応となる可能性があり、これらの例について臨床的特徴を検討する。 結果:(1)COPD例およびPF例では酸素吸入によりPaO_2を70Torr以上に設定すればほとんどの例でNODは消失するが、PTB例ではPaO_2を80Torr以上にしてもNODが存在する例が存在した。 (2)酸素吸入下にてもNODが認められる例はPDB例、PaCO_2が高値例、%VCが低値例、肺性心がある例、右心不全の既往がある例が多かった。 結論:酸素吸入下でPaO_2を改善させても特にPTB例、PaCO_2高値例、%VC低値例、肺性心がある例、右心不全の既往がある例ではNIPPVの適応となる可能性がある。
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