目的:慢性呼吸器疾患患者における在宅非侵襲的陽圧換気法(noninvasive positive presure ventilation:NIPPV)の適応基準について検討する。 対象:空気吸入下でPaO_2が55Torr以上かつ空気吸入下で睡眠時低酸素血症(nocturnal oxygen desaturation:NOD)が認められる慢性呼吸器疾患55例。疾患別内訳は慢性閉塞性肺疾患(COPD)18例、肺結核後遺症(PTB)33例、肺線維症(PF)4例。NODは全睡眠時間におけるSaO_2が85%以下になる時間の割合(desaturation85%:DST85)が1%以上の場合とした。 方法:(1)対象患者について換気機能検査(%VC、FEV_<1.0>%)を施行。 (2)酸素吸入により日中覚醒時のPaO_2を60〜90Torrに設定し、パルスオキシメータにより睡眠時動脈血酸素飽和度(SaO_2)を経時的に測定。 (3)酸素吸入前後での動脈血液ガス、DST85を各疾患群で比較。 (4)空気吸入下でNODが認められる例(NOD群)とNODが認められない例(non-NOD群)について、動脈血液ガス、換気機能検査を比較。 結果:(1)COPD、PFでは酸素吸入により全例NODは消失した。PTBではPaO_2を80Torr以上にしてもNODが存在する例が存在した。 (2)PTB例でNOD群はnon-NOD群に比べPaCO_2が高く、%VCが低い傾向にあった。 結論:PTB例でPaCO_2高値例、%VC低値例では、酸素吸入によりPaO_2を改善させてもNODを合併しやすく、NIPPVの適応となる可能性がある。
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