研究概要 |
1.HLA-A^*2402拘束性肺癌反応性CTLラインの樹立:日本人に多いHLAハプロタイプを持つ肺腺癌(HLA-A^*2402B^*5201Cw^*1202/A^*2402B^*5401Cw^*0102)細胞株を刺激源として、HLAが部分的に一致する健常人(A^*2402B 5201Cw^*0102/A^*02B^*5901Cw^*1202)由来末梢血単核球よりMHC classI拘束性のCTLラインを樹立した。次にHLAが既知の肺癌株19株を含むターゲットパネルとの反応性より、このCTL反応のHLA拘束性を推定したところ、A^*2402,B^*5401又はCw^*0102が抗原エピトープを提示している可能性が考えられた。この内、HLA-B^*5401がアロのHLAであり、MLTRによりアロ反応性のCTLクローンも誘導されていることが推定された。 2.肺癌細胞株由来cDNAライブラリーの作製:1で刺激源として用いた肺腺癌株よりpoly(A)RNAを抽出し、ランダムプライマーを用いてcDNAを合成した。次にこのcDNAを発現プラスミドに挿入し、cDNAクローンとして計約20万クローンに相当するcDNAライブラリーを作製した。 3.発現クローニング法によるCTL認識肺癌抗原の単離:COS7細胞にHLA-A^*2402もしくはCw^*0102の発現プラスミドベクターと2.で作製したcDNAライブラリーをDEAEデキストラン法でトランスフェクトし、1.で樹立したCTLラインと混合培養した後、培養上清中に分泌されるIFN-γをELISAで測定することにより抗原遺伝子を含むcDNAプールをスクリーニングした。約20万クローン中、CTLと特異的に反応するクローンが一つ単離できたが、これはHLAcDNAに依存せずにCTLと反応することより、COS細胞上のHLAに提示された抗原がCTLのT細胞リセプターと反応する抗原と類似した為に生じた交差反応であると考えられた。
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