研究概要 |
過誤腫性肺脈管筋腫症(pulmonary lymphangioleiomyomatosis,LAM)は結節性硬化症(tuberous sclerosis complex,TSC)の合併肺病変として1〜4%の頻度で認められる(以下、TSC-LAM)が、LAM単独で生殖可能年齢の女性に発生することが知られている(以下、sporadic LAM)。TSCでは原因遺伝子としてTSC1およびTSC2遺伝子の異常(germline mutation)が報告されているが、sporadic LAMの発症にも両遺伝子の異常が関与しているかどうか不明である。そのため、TSC-LAM4例、sporadic LAM8例においてTSC遺伝子異常の有無を検討した。症例の末梢血白血球あるいは手術により採取した病変組織から genomic DNAを分離し、TSC1およびTSC2遺伝子の各exonの遺伝子変異の有無をPCR-SSCP法で検討した。移動度変化が検出されたexonではPCR産物をdirect sequenceし核酸変異を同定した。現在までの所、以下のような結果が得られている。sporadic LAM1例のリンパ節病変において、TSC2遺伝子exon33にframe shiftを生じる1 base insertionと1 base deletionを検出した。両変異は白血球のgenomic DNAでは検出されず、また、2つの変異は異なるallele上に存在した。また、別のsporadic LAM症例ではTSC1遺伝子のexon 6にnonsense変異を検出し、LAM症例には遺伝学的にTSCの不全型と考えられる症例が存在することを明らかにした。残りの症例の遺伝子解析を引き続き検討中である。
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