研究概要 |
遺伝性脊髄小脳変性症の内、現在8疾患がCAG繰り返し配列によりコードされる増大したポリグルタミン鎖により引き起こされることが明らかとなっている。これらの疾患ではCAGリピート数の増加に伴い発症年齢が若年化する傾向が知られているが、同じCAGリピート数でも疾患間で発症年齢が異なる。この理由については明らかにされていない。今年度、我々はポリグルタミン鎖周辺のアミノ酸配列が増大ポリグルタミン鎖の凝集体形成能に影響を与える可能性を考え、truncated ataxin2,huntingtin,DRPLAP,ataxin3においてその凝集体形成能の違いと,凝集体形成能に及ぼす周辺アミノ酸配列の影響,及び個々のポリグルタミン病との関連を検討した。方法としてSCA2,HD,DRPLA,MJD遺伝子の種々の長さのCAGリピートとその5酎、の24塩基,3酎、の27塩基を含むDNA断片を作成しpEGFPN1に組み入れCOS7細胞に発現させ凝集体形成細胞の割合を算出、ウエスタンブロットにて不溶画分の出現を確認した。Truncated ataxin2,DRPLAPの発現ではともにCAGリピートの長さ依存性に34から36リピート間に閾値を持って凝集体形成能の増加を認めた.ウエスタンブロット法でもtruncated ataxin2,DRPLAPでともに34から40repeat間で不溶分画のバンドの増強を認めた.56CAGリピートを共通に含むtruncated ataxin2,huntingtin,DRPLAP,ataxin3の発現ではtruncated ataxin2及びhuntingtinがtruncated DRPLAP及びataxin3に比べ高率な凝集体形成能を示した.ウエスタンブロット法でもtruncated ataxin2及びhuntingtinがtruncated DRPLAP及びataxin3に比べ不溶分画で強いバンドの出現を認めた
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