研究概要 |
対象;23〜37歳の若年健常成人15名と、57〜68歳の健常高齢者13名。方法・分析;MLRは安静座位、開眼で、音圧50dBSL、持続時間50msec、頻度1.1Hzで、1,000Hz,2,000Hzの純音を両耳に与え、頭皮上15部位より、鼻尖を基準として脳波を記録した。周波数帯域は、5〜500Hz、分析時間は刺激前15msecから刺激後135msecとした。受動課題は、1,000Hz,2,000Hzの純音をそれぞれ1施行につき1音のみ呈示し、各純音に対する脳波を記録した。弁別課題は、上記2種類の純音を50%ずつランダムな順序で呈示し、2,000Hzの純音を標的音として頭の中で計数させ、標的、非標的音それぞれに対する脳波を別々に記録した。脳波は、標的、非標的それぞれあわせて250回を1ブロックとし、2ブロックを繰り返してoff-lineでこれらを加算平均した。MLRの等電位分布図は、CzのPb頂点潜時における各部位のPb振幅から作成した。統計解析はT value mapを用いた。脳波パワースペクトラムは、MLR後安静座位、開眼にて10秒間の脳波を記録し各周波数帯域の脳波のパワー分析を行った。 結果;若年、高齢者群ともに、Pbの頭皮上分布は両課題ともにCz中心であり、両群とも、受動課題に比し、弁別課題でPb振幅は推計学的に有意に(p<0.05)増高した。以上より、Pbは、受動課題と弁別課題間の比較によりvigilanceレベルを評価し得ると考えられた。また、vigilanceレベルは、加齢による影響を受けないことも分った。一方、脳波パワースペクトラムは、両課題間で統計学的に有意な差異が認められなかったが、課題と同時に脳波の記録を行えなかったためと考えられた。今後、加齢による変化が見られないvigilanceレベルが、痴呆患者においてどう変化してゆくかを検討してゆきたい。
|