ヒトの血流調節機序におけるK_<ATP>チャネルの役割を検討するために、外科手術を受ける患者の切除した組織を用いて以下の研究を予定した。組織より細小動脈を顕微鏡下に摘出し、その両端にマイクロビペットを挿入、リザーバーの水位を変化することにより60cmH_2Oの内圧を加え、自発性収縮を得る。血管内径の変化はVideomicroscope法により、モニター下に観察、測定する。グリベンクラミド投与前後でK_<ATP>チャネルオープナー、アデノシン、アシドーシスなどによる血管内径の変化を観察し、ヒト細小動脈においても、K_<ATP>チャネルの活性化により血管拡張が生じ、アデノシン、アシドーシスの血管拡張がこの機序を介することを確認する。さらに動脈硬化、高血圧、高血糖などの患者により得られた組織から摘出した細小動脈を灌流し、K_<ATP>チャネルオープナー、アデノシン、アシドーシスによる血管拡張を観察し、これらの病態のない患者の細小動脈の拡張と比較する。 平成11年度は顕微鏡を使用した微小血管観察システムのセットアップに時間がかかったため、研究を予定通り進めることができなかった。研究に使用する組織としては、ヒト腸間膜動脈の細小動脈を使用することとし、平成12年度に実施する。
|