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1999 年度 実績報告書

心不全の心筋におけるエンドセリン産生の転写調節機構に関する分子生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 11770346
研究機関筑波大学

研究代表者

結城 幸一  筑波大学, 臨床医学系, 助手 (80302420)

キーワードエンドセリン / 心不全 / 心筋細胞 / エネルギー代謝不全
研究概要

本研究の目的は、心不全のような慢性期の病態におけるエンドセリン(ET)-1産生のメカニズムを調べることである。我々は、心不全という病態が、その一側面では心筋のエネルギー代謝不全であることに着目し、エネルギー代謝不全とET-1産生の間の関係について調べた。心不全において、心筋のエネルギー産生系はミトコンドリアにおける脂肪酸のβ酸化から解糖系にシフトしている。この解糖系の遺伝子の発現を制御している転写因子の一つとしてhypoxia inducible factor(HIF)-1αがある。今回このHIF-1αとET-1との関係について調べた。
1.まず2つの心不全モデル動物を用いてHIF-1αとET-1の遺伝子発現の変化を経時的に調べた。その結果、HIF-1αの遺伝子発現はET-1の遺伝子発現と相関して、心不全の進行と共に増加した。
2.ET-1の5'非翻訳領域には、HIF-1αの認識配列が存在する。HIF-1α及びET-1の5'翻訳調節領域を組み込んだプラスミドを用いて、ルシフェラーゼアッセイをおこなった。その結果、HIF-1αはET-1の5'翻訳調節領域を認識してET-1の遺伝子発現を増加した。
3.さらにHIF-1αとET-1の翻訳調節領域との結合を確認するために、ゲルシフトアッセイをおこなった。その結果、心筋細胞内のHIF-1α蛋白質とET-1の5'翻訳調節領域のオリゴヌクレオチドとの結合が認められた。
4.また心筋のエネルギー代謝不全によってET-1の遺伝子発現が上昇するか、培養心筋細胞を使って調べた。ミトコンドリアの機能を障害したとき、HIF-1αとET-1の遺伝子発現は顕著に増大した。これらの結果は、心不全においてエネルギー代謝不全を補うためにHIF-1αが誘導され、これがET-1の産生増大の一部を担っていることが示された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Kakinuma,Y: "Myocardial expression of endothelin-2 is altered reciprocally to that of endothelin-1 during ischemia of cardiomyocytes in vitro and during heart failure in vivo"LIFE SCIENCES. 65巻16号. 1671-1683 (1999)

  • [文献書誌] Yuki,K: "Mitochondrial dysfunction increases expression of endothelin-1 and induces of apoptosis through caspase-3 activation in rat cardiomyocytes in vitro."J.Cardiovasc.Pharmacal.. (in press).

  • [文献書誌] 結城幸一: "心肥大の刺激因子 血管作動物質―アンジオテンシンII、エンドセリン"現代医療. 31巻・8号. 1947-1952 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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