本年度は、in vivoラット心筋梗塞モデルにおいて、虚血再灌流傷害時に認められる、心筋apoptosisと細胞表面抗原の変化を免疫染色にて検討した。 〈方法〉250-300g雄生SDラットを人工呼吸器管理下に左開胸し、左冠動脈を30分結紮後24時間再灌流した。再灌流後、心臓を摘出し、PBSにて洗浄の後、心室中部で横切した。片方を4%buffered Formaldehydeで24時間固定後パラフィン包埋し、もう片方をOCT conpaundに包埋後液体窒素にて凍結した。 アポトーシス細胞の検出のためパラフィンサンプルを4μmで薄切後、in situ end-labeling法(TUNEL染色)を行い、連続切片で、HE染色を行った。またアポトーシス細胞の除去機構を検討する目的で、凍結サンプルを10μmで薄切し、免疫組織染色法でAnnexin V染色、及び抗主要組織適合抗原(MHC)class II染色を行った。 〈結果〉パラフィン薄切サンプルで、HE染色、TUNEAL染色を対比し検討したところ、心筋梗塞部周辺領域において21.9±2.3%の心筋細胞がTUNEL陽性であった。また、免疫組織染色サンプルにおいてAnnexin V染色は、非虚血領域、及び心筋壊死領域は染色されず、心筋梗塞周辺部に陽性細胞を認めた。抗MHC class II染色も心筋梗塞周辺部の心筋細胞細胞膜部に発現増強傾向が認められた。 梗塞周辺部の心筋細胞において、細胞膜phosphatifilserineの変化が見られ、またMHC classII IIが新たに発現していることより、これら表面抗原の変化がマクロファージによるアポトーシス細胞除去機構に関与している可能性が考えられた。
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