本年度、イノシンの冠血管拡張作用のうちATP感受性Kチャネル(K-ATP)の活性化がアデノシン受容体を介さず発揮されるか否かを検討中である。モルモットの心臓を摘出後ランゲンドルフの灌流系に連結し、定流量灌流した。収縮安定後一時的に灌流液を窒素により低酸素化したタイロード液に変換し低酸素誘発性冠血管拡張が生じることを確認した。その後灌流液を一時的にアデノシン添加タイロード液およびイノシン添加タイロード液に変換し、アデノシンおよびイノシンによる冠血管拡張を観察した。引き続きこれら一連の操作をK-ATPの阻害薬であるグリベンクラミド存在下に繰り返した。以上によりアデノシンおよびイノシンの冠血管拡張作用は共にグリベンクラミドにより抑制された。更に以上の操作をアデノシン受容体拮抗剤であるキサンチン誘導体存在下に実験した。水溶性キサンチン誘導体により低酸素による冠血管拡張は抑制されたが、キサンチン誘導体濃度による抑制効果の変化について検討中である。
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