我々は、心筋へ分化誘導できるマウス胚性癌細胞腫P19を用い、心筋細胞の分化に関与するサイトカインについて検討した. 方法 P19細胞の培養液に適切な濃度のレチンイン酸を添加することにより、細胞を心筋、および骨格筋へ分化誘導した.それぞれの条件下で各種サイトカインがどの様な発現様式をとるかRT-PCRを用いて解析した.培養液にサイトカインを添加することにより分化方向が変化するかどうかを、各種分子マーカーの発現により解析した.受容体に対する抗体を用いて、情報伝達経路について検討した. 結果 1、心筋分化時にはFGF1遺伝子の転写が亢進する. 2、外因性のFGF1は心筋分化を促進する. 3、1型FGF受容体がFGF1の情報伝達に関与する. 4、FGF1の心筋分化誘導はBMP4やGATA4の誘導を経て行われる. 5、FGF2は心筋分化を抑制する.
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