研究概要 |
本年度は、心筋細胞における細胞周期の制御機構を明らかにし、細胞分裂再開による心筋細胞再生という形での心不全の新しい治療法の可能性を検討するために、細胞周期制御蛋白であるcdk2,cdc2の心筋細胞特異的トランスジェニック・マウスを作製し、それらの心臓を解析した。 心肥大心筋細胞肥大および心不全の評価 作製したcdk2,cdc2の心筋細胞特異的トランスジェニック・マウスのF2を12週齢でsacrificeし、body weight,heart weightを測定し、さらに心肥大の目安としてheart weight/body weightを計算する。また、lung weight,liver weight,pleural effusionをチェックし心不全の程度について評価した。その結果、cdc2の心筋細胞特異的トランスジェニック・マウスでは発生は正常で心肥大をきたさないにもかかわらず、cdk2の心筋細胞特異的トランスジェニック・マウスでは心肥大が見られ発現量の多いラインではマウスは2週齢死亡した。組織学的には細胞数の増加が観察された。このことは、心筋細胞が細胞分裂を再開したことを意味する。来年度は、cdk2,cdc2の心筋細胞特異的トランスジェニック・マウスにおける差異を詳細に検討することにより心筋細胞における細胞周期の制御機構を明らかにすることを目標とする。
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