研究概要 |
我々はこれまで虚血性心疾患の治療の研究に積極的に取り組んでいる。骨髄単核球細胞の分画中の血管内皮細胞に分化しうる幹細胞(progenitor endothelial cell;PEC)に血管形成促進因子を組み合わせ生体に投与する事によって血管新生を促進させるという新しい血管形成機構の概念は、治療法の開発において非常に大きな意味を持つ。犬心筋梗塞モデルを作成し、血管新生の評価法として血管造影を、毛細血管新生の評価として免疫組織学的染色を行った。壁運動測定用パッチにて、心筋梗塞作成前後の局所壁運動を評価予定であったが、術後の心膜癒着が強いため評価不能であった。そこで我々は血管新生により組織の機能回復が起こるか否かを確かめるために虚血下肢における自己骨髄単核球細胞移植による血管新生療法を行った。ウサギ下肢虚血モデルを作成し、血管新生および機能回復に関しては、下腿血圧、血管造影、免疫組織学的染色、皮下血流量で評価し、良好な結果を得た(Shintani,S.et al.Augmentation of postnatal neovascularization with autologous bone marrow transplantation.Circulation.2001.)。これらの動物実験の結果より自己骨髄細胞移植は、新たな治療的血管新生の一つの戦略となり得ることが示唆された。
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