1)in vivo血管平滑筋細胞増殖モデル作成 ラット頸動脈にバルーン傷害を加えると14日後に平滑筋細胞増殖により新生内膜が形成された。これを生体内における平滑筋細胞増殖モデルとした。 2)バルーン傷害モデルにおけるJAB・Jak2・STAT発現 免疫組織染色法にて、傷害前、傷害後2、7、14日の血管壁におけるJAB・Jak2・STAT3蛋白質発現を検討した。傷害前の正常血管においてはJak2・STAT3蛋白質の明らかな発現を認めなかった。傷害2日目に中膜平滑筋細胞にJak2・STAT3蛋白質が認められ、新生内膜形成が最も盛んな7日目に内膜・中膜平滑筋細胞においてJak2・STAT3蛋白質がピークとなった。14日目には内膜・中膜平滑筋細胞ともにJak2・STAT3蛋白質発現が消失した。JABについては、数種類の抗体を使用して免疫組織染色法を行っているが、バックグラウンドが高いなどの問題があり現在も引き続き検討中である。 3)JAB cDNA組込みアデノウイルス・ドミナントネガティブSTAT3 cDNA組込みアデノウイルス作成 新生内膜形成中の血管に発現するJak2・STAT3蛋白質の意義を解明するため、JAB cDNA組込みアデノウイルス(Adv-JAB)・ドミナントネガティブSTAT3 cDNA組込みアデノウイルス(Adv-DNSt3)を、バルーン傷害時に傷害局所の内腔から特殊バルーンカテーテルを用いて遺伝子導入し、その影響を検討する。そのために、現在、コスミドベクターに組み換えたJAB cDNAおよびドミナントネガティブSTAT3 cDNAをアデノウイルスベクターに組み換え増殖中である。
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