研究概要 |
本研究の目的は,高コレステロール血症患者の血小板由来一酸化窒素(NO)生成が低下しているか否か,高コレステロール血症患者の血小板由来NO生成と内皮依存性血管拡張反応が相関するか否かを検討することである.また,作用の異なる2種類のHMG-CoA還元酵素阻害薬によるコレステロール低下療法が高コレステロール血症患者の血小板由来NO生成に与える影響を観察し,高コレステロール血症と血小板由来NO生成の関係する機序を検討することである.平成11年度は高コレステロール血症を含む冠動脈危険因子と血小板由来NO生成の関係を検討した.その結果,危険因子数と血小板由来NO生成は有意な逆相関を示した.しかしながら,血小板由来NO生成に関して高コレステロール血症単独では健常者と比し未だ有意差の確認に至らず,現在高コレステロール血症の症例数を増やして更に検討中である.血小板由来NO生成と内皮依存性血管拡張反応が相関するか否かに関しては,冠動脈疾患患者において血小板由来NO生成と内皮依存性血管拡張反応は共に低下していることが確認され,両者の間に有意な正相関が認められた(第64回日本循環器学会総会発表予定).この結果は,NO生成に関して血小板と血管内皮細胞が類似した動態を示すことを示唆する.今後は,現在の検討を継続し,更にHMG-CoA還元酵素阻害薬によるコレステロール低下療法の影響を検討する.
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