【目的】エネルギーの異なる2種の放射性分子血流トレーサ(^3H-DMI、^<125>I-DMI)を用いた心筋血流デジタルラジオグラフィを確立し、マイクロスフェアによる冠細動脈の塞栓前後の微小心筋血流パターン変化を評価する。 【方法】ダブルトレーサ法 心筋ペーストを異なる濃度のHDMIおよびIDMIとホモジェナイズし、各ペースト内の放射活性濃度を計測した。次いで、同ペーストから10μm厚切片を作製し、^3H用TRIP(^3Hおよび^<125>Iの検出)および汎用MSIP(^<125>Iのみの検出)に露光してオートラジオグラム(AG)を作成した(100 pixels/mm^2)。TRIP上のHDMIとIDMIの重畳イメージからHDMIイメージを抽出するための較正曲線、すなわち、心筋内HDMIおよびIDMI濃度(cpm/mg)vs.TRIPによるAG濃度(au)、心筋内IDMI濃度vs.MSIPによるAG濃度を求めた。実験プロトコル 38℃タイロード溶液潅流によるウサギ・ランゲンドルフ心において、IDMI(1μCi)投与後に直径15μmのマイクロスフェアを8×10^1個(約10個/mg)投与し、次いでHDMI(10μCi)を投与した(各々20秒間隔)。左室自由壁の心筋スライスを作製し、オートラジオグラフィ、イメージ・サブトラクションによって塞栓前後の潅流パターンをイメージングした。解析上のピクセルサイズは400μm×400μmとした。 【結果】塞栓後の潅流パターンは塞栓前の潅流パターンと定性的にほぼ一致した。(局所潅流相関値r=0.83±0.05)。しかし、局所潅流量の変動係数CV(SD/mean)は塞栓によって0.19±0.03から0.26±0.04に増加し(p<0.05)、空間的潅流不均一性の増強がみられた。 【結言】2核種標識のトレーサを利用したオートラジオグラフィにより、微小塞栓が毛細血管レベルの心筋潅流不均一性を上昇させ、一部の低潅流域はより不利な潅流条件に晒されることが示された。
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