研究概要 |
1)小型加振器の開発:本研究課題の目的である,臨床応用可能な小型加振器の開発に今年度は重点を置いた。現段階での加振器のスペックであるが,変位制御が可能で,本体部の長さが85mm,直径が25mmの手持ちが可能なサイズまで小型化をはかることができた。また,本機の計測部についてであるが,最大振幅±1mmで約100Hzまでの周波数特性をもち,力計測も瞬間最大200g重(連続最大50g重)まで測定可能であり,本研究に用いる微小振動としては十分なスペックに至ることができた。今後は,微小変位をより精密に測定するため,先端部に加速度計を装着することにより,変位の測定精度を上げることができるか検討を加える予定である。 2)二波長同時入力時の力-変位関係からも,検出された二つの周波数成分にオーバーラップが無ければ,心筋局所エラスタンスが測定可能であることが,動物実験から明らかになった。今後,同時に加える二波長の適切な周波数を明らかにする予定である。 3)シミュレーションデータ,および一部動物実験のデータを用いて,リアルタイム計測が可能な局所心筋エラスタンス測定のアルゴリズムの開発を行った。今のところ,いかなる条件(種々の収縮性や後負荷)下でも,実時間で正確に局所心筋エラスタンスが求められるところにまではいたっていないが,二波長微小振動同時入力を行って,計測された変位と力を二種類のデジタルフィルターを適切に組み合わせることで,実時間測定が実用可能であることがわかった。平成12年度は,種々の条件下でも分離可能なデジタルフィルターの開発を行う予定である。
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