研究概要 |
1)APL細胞株(HL-60,NB4,UF-1)をサイトカイン(G-CSF,GM-CSF,IL-6,IL-3)存在下に培養すると、UF-1細胞はG-CSF又はIL-6刺激により細胞死に誘導された。この現象は他の細胞株(HL-60,NB4)やサイトカイン(GM-CSF,IL-3)では認められなかった。 2)G-CSF又はIL-6刺激にによるUF-I細胞の分化(細胞形態学的成熟、CD11bの発現、nitroblue tetrazolium(NBT)還元能)とアポトーシス(形態学的アポトーシス、DNA断裂化)を評価した。G-CSF又はIL-6刺激により、UF-1細胞のアポトーシスが誘導された。このアポトーシスは、分化の結果ではなく、分化に先駆けて起こっていた。 3)UF-1細胞は、G-CSFとIL-6に共通なシグナル伝達分子に異常を有すると考えられ、その共通なシグナル伝達分子の一つであるStat3蛋白の発現とそのチロシンリン酸化を、Western blot法と免役沈降法により検討した。G-CSF又はIL-6刺激により、UF-1細胞のStat3蛋白は、他の細胞株(HL-60,NB4)に比較して、過剰にチロシンリン酸化され、アポトーシスの誘導との関連が示唆された。 4)UF-1細胞を最終的にアポトーシスに導く因子として、Western blot法により、Bcl-2 family蛋白の発現を検討した。G-CSF又はIL-6刺激により、UF-1細胞のBcl-2、Bcl-X、Bax蛋白の発現に変化は認められなかった。ただし、通常の21-kDaBax蛋白に加えて、18-kDa蛋白がBax抗体により検出され、アポトーシスとの関連が示唆されたが、今後のさらなる検討が必要である。
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