平成11年度は成長ホルモンを発現する組換えアデノ随伴ウイルスを作成した。米国ジエンザイム社よりすでに供与を受けているAAV作成システムを利用した。発現ベクターであるpNTC3CMVにGHのcDNAを組み込んだ。GH遺伝子はCMVプロモーターによりdriveされ、できあがったpNTC3CMV-GHとヘルパープラスミドであるp5rep_CMVcapを293細胞(胎児腎臓由来細胞株)へカルシュウム・リン酸沈殿法によりトランスフェクションした。同時にtempreture sensitive mutantアデノウイルス(Ad5ts149)を感染した。これを39度で培養することによりAd5ts49は増殖せずrAAVのウイルスストックへのアデノウイルスの混入を妨げる。トランスフェクション48時間後に細胞と培養液を回収する。回収後、硫酸セルロース・アフィニティークロマトグラフィーにてrAAV-GHを濃縮した(平井幸彦ら、遺伝子治療の基礎技術、羊土社)。濃縮したrAAV-GHをまず培養皮膚線維芽細胞に感染させた。3-4日後に細胞上清中のGHをアマシャム社製のrat GH[^<125>I]アッセイシステムを用いて測定したところGHの発現を確認した。しかしながらウイルス力価を測定したところ期待していた程、力価はあがらず現在力価を上昇させるべく検討を加えている。平成12年度はモデルマウスによる実験を行う予定である。
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