我々は、新生児好中球の過酸化水素産生能が成人好中球より亢進しており、さらに早産児では正期産児よりも亢進していることを報告した。また、亢進因子は血漿に含まれていることを証明した。この血漿因子が何かを解明するため、種々のサイトカインが我々の実験系に及ぼす影響を検討した。蛍光色素(propidium iodide)で標識した黄色ブドウ球菌・DCFH-DAとフローサイトメトリーを使って全血中好中球の貪食能と貪食後過酸化水素産生能を同時測定する方法を用いた。好中球を貪食刺激する前にサイトカインを加えて1時間以内振盪加温した結果、IFN-γ、G-CSF、IL-1βそれぞれで貪食刺激後の過酸化水素産生能を亢進させる傾向があり、その傾向は成人、正期産児、早産児それぞれで同程度(10〜15%増加)にみられた。一方、PMA刺激後の過酸化水素産生能に影響を与えるサイトカインはなかった。また、いずれのサイトカインも貪食能に影響を与えなかった。 今後、サイトカインレセプターの発現量を全血中で測定する方法を確立し、新生児と成人との好中球の発現量を検討するとともに、両群での血液中のサイトカイン濃度をELISA法で測定比較し、新生児期の好中球機能の制御サイトカインを検証する。
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